「当事者間の合意書」による養育費の取決め

公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

今回は、前回少し説明しました改正家族法によって新設された養育費の先取特権について、もう少し詳しく話をさせていただきます。


養育費の先取特権について


前回説明しましたように、父母が法的に有効な合意書などの私的な文書によって養育費を取り決めた場合、

令和8年4月1日以降に生じる養育費について先取特権が適用され、担保権の実行により相手の財産(給料・預貯金等)の差押えができることになりました。

つまり、公正証書や家庭裁判所の手続で作成した調停調書等の書面がなくても、相手の財産の差押えができることになりました。

また、養育費に先取特権が付与されたことによって、差押えにおいて競合する債権者がいても、優先的に養育費の支払いを受けることができます。

ただし、差押えができる養育費の金額には上限があり、子ども一人当たり月8万円となっています。

以上のとおり、これまで養育費を取り決めていなかった方も、今からでも相手と合意書を作成することができれば、

万一、相手が養育費を支払わなくなった場合には、相手の財産を差押えることが可能になります。


「当事者の合意書」と「共同養育計画書」について


「当事者の合意書」によって養育費を差押えるためには、法的に有効な合意書にする必要があります。具体的には以下の事項の記載が必要だといわれています。


①受け取る方と支払う方:それぞれ自筆の署名と押印をします。

押印は、支払う方の実印や離婚届に押されている印鑑を使用するとよいでしょう。


②養育費の金額:子ども毎に養育費の月額を記載します。


③支払期間:支払の始期と終期を記載します。

例えば、大学進学が見込まれる場合は、「子どもが22歳になった後の最初の3月まで」などと記載します。


④支払時期:養育費が月額の場合は、その月の養育費を「毎月末日(または、毎月10日)までに支払う」などと記載します。


⑤支払方法:受け取ったかどうかの証拠が残るので、金融機関に振り込んでもらうことが望ましいでしょう。

例えば、「〇〇名義の〇〇銀行〇〇支店の普通預金口座(口座番号〇〇)に振り込む方法で支払う」などと記載します。

また、「振込手数料は〇〇の負担とする」を加えてもよいでしょう。


⑥その他:場合によっては、「子どもの進学、病気等の特別な費用の負担については別途協議する」などと記載することも考えられます。


なお、以上の事項が記載された「当事者間の合意書」が差押えを行う際の法的に有効な文書になるかどうかは最終的には裁判所が判断しますが、

前回説明しました『こどものための共同養育計画書』において養育費を取り決めておくと、

それが「当事者間の合意書」として差押えが可能な文書になると説明されています。



このコラムを書いたのは・・・

公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

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