公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。
前回は、離婚調停について話をしましたが、今回も、その続きの話をします。
離婚調停のメリットは何ですか?
離婚調停には、前回説明しましたメリット以外に以下のようなメリットがあります。
①利用する際の費用が安い。
離婚調停(夫婦関係調整調停)の場合、利用する際の費用は2,290円だけです(千葉家庭裁判所の場合)。
具体的には、1,200分の収入印紙(手数料)と裁判所が書面で調停期日の通知をするための切手1,090円分(券種と枚数の指定があります。なお、使わなかった切手は、調停終了時に返却されます。)を購入して申立て時に裁判所に納付します。
他の手続に比べると費用が格段に安いといえます。
②調停成立後に履行勧告の制度が利用できる。
調停で決めた内容が守られない場合、強制執行認諾文言のある公正証書を作成した場合と同様に、養育費や財産分与などの金銭に関する内容であれば、
地方裁判所の民事執行係に強制執行(債権差押命令)の申請をして、相手(義務者)の給料や預貯金の差押えができます。
それに加えて、調停で取り決めた場合は、家庭裁判所が相手に対して決めた内容を守るよう勧告する制度があります。
この制度を「履行勧告」と言います。
履行勧告は、電話で依頼できますし、費用は一切掛かりません。
例えば、約束の期限を過ぎても養育費が支払われない場合、離婚調停を行った家庭裁判所に履行勧告を依頼すると、家庭裁判所が相手に養育費を支払うよう書面等で勧告をします。
また、強制執行の申請の場合、相手の勤務先や預貯金口座を特定する必要がありますが、履行勧告の場合は、その必要がありません。
なお、この制度は、親子交流などの金銭に関する内容以外でも利用できますし、回数の制限がないので、何度でも依頼することができます。離婚調停だけにある非常に役に立つ制度といえます。
パソコンやスマートフォンなどを使った調停
前回、パソコンやスマートフォンなどを使った調停(「ウェブ会議」と呼んでいます。)の話をしましたが、
その後、法律の施行により、令和7年3月1日から、ウェブ会議であれば、家庭裁判所に出向かなくても離婚調停を成立させることができるようになりました。
詳細は、下のURLをクリックしてください。↓
https://www.moj.go.jp/content/001431813.pdf
このコラムを書いたのは・・・
内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。