子育てコラム

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公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

以前、協議離婚について話をしましたが、今回は、調停離婚について話をします。


ご承知のとおり、調停は、家庭裁判所において、当事者間で取り決める内容について相手と話し合う手続です。

そして、当事者間で取り決める内容について合意が得られると裁判所が「調停調書」という書類を作り、

これが、以前、話をしました公正証書と同じ法的効力を持つことになります。


しかし、公正証書と違う点は、公正証書は相手と取り決める内容について合意がないと作成できませんが、

調停では、相手と取り決める内容の合意ができていなくても、

裁判官と2人の調停委員で構成された調停委員会が仲介することによって、取り決める内容の合意が得られる点です(調停は、話し合っても合意が得られない相手との間で合意を得るわけですから、それ相当の時間が掛かります。)。


離婚調停のメリットは何ですか?


離婚調停は、調停委員会が仲介してくれる点以外にも、次のようなメリットがあります(特に養育費に関して説明します。)。


①協議離婚の場合より養育費の取決め率が高い。

これは、協議離婚が離婚届を提出するだけで成立し、他の誰からも協議の内容のチェックを受けることがないからです。


②協議離婚の場合より養育費の支払が継続する割合が高い。

調停離婚の場合は、調停委員会が立会いの上で双方が納得の上で法的効力のある書面が作成されるからです。


家事調停はどんな感じですか?


裁判所というと敷居が高い感じですし、公開の法廷で行われる裁判と違って、非公開ですので、どんな感じか想像しにくいと思います。

そこで、最高裁判所が作成した家事調停のビデオがありますので、ご覧ください。

下のURLをクリックしてください。↓


https://www.courts.go.jp/links/video/kajichoutei_video/index.html


なお、調停では、待合室は別々ですし、話し合いをする調停室でも、どちらか一方が相手と同席を希望しない場合は、原則的に、相手と同席することはありません。

そして、現在、裁判所に出向かなくても、お持ちのパソコン、タブレット、スマホなどを使ったウェブ(いわゆるテレビ電話)や電話で調停をすることも可能となっています(ただし、現在のところ、離婚調停の場合、調停成立時だけは裁判所に出向く必要があります。)。




このコラムを書いたのは・・・

公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

離婚成立の時に合意せず、後から請求しても、連絡が取れない、相手にされないなど、難航することが多いです。

お子様の大事な権利ですので、離婚の前に話をしてください。


算定表で簡単に算定、説明できる

養育費も、算定表、と一緒に入れて検索すると、「養育費・婚姻費用算定表‐裁判所」(令和元年12月23日公表)という算定表が出てきます(一番上ではないことが多いので、表記に注意してください)。

婚姻費用と同様に、お子様の人数(0~3名)、お子様の年齢(14歳以下、15歳以上)によって異なる表から、ご自身と一致する表を選んで、

義務者(配偶者)の縦軸、権利者(ご自身)の横軸のそれぞれの収入から引いた線が交わったところが、養育費の相当額となります。


毎月の養育費以外の大きな出費についても決めておくこと

お子様の学費の他、病気などの特別の出費については別途協議すると決めておくと、いざという時に相談がしやすいです。

もう具体的に、何にいくらかかると分かっている出費は、できれば、そのうちいくらをいつ支払う、ということまで決めてしまいましょう。

全額を相手が支払う、というよりは、お互いの収入の割合に応じて分ける、あるいは、折半という提案にした方が、話がまとまりやすいです。

また、学資保険等お子様のための保険は、できれば親権者への名義変更をしてください。相手名義だと、解約されたら使えません。


決めた内容は書面に残しておくこと

他の離婚の条件についても大事なことですが、特に養育費は、お子様の扶養義務がある限り長い間支払うものですので、お互いの記憶がずれたりしないよう、話すだけではなく、必ず書面に残して下さい。

署名がもらえそうになくても、せめて、メールやラインで、決めた結果をまとめて相手に送って確認するところまではして下さい。


養育費についてはよくご質問をいただくので、次回以降も、もう少し詳しくお話ししたいと思います。



このコラムを書いたのは・・・弁護士法人ForPEACE渡邊未来子

1974年茨城県生まれ。東京大学教育学部付属高等学校卒業、早稲田大学法学部卒業。最高裁判所司法修習(第53期)。都内企業法務事務所、一般民事事務所勤務のほか東京法務局、東京国税不服審判所での任期付公務員を経て2019年1月、わたしのみらい法律事務所を開設。2022年12月、弁護士法人ForPEACEに参加。弁護士資格のほか、保育士、チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーの資格を持つ。

ご別居後、離婚成立までの間は、お子様だけでなく、ご夫婦間でも扶養義務があり、婚姻費用として生活費を支払う義務があります。


算定表で簡単に算定、説明できる


婚姻費用、算定表、で検索すると、「養育費・婚姻費用算定表‐裁判所」(令和元年12月23日公表)という算定表が出てきます(一番上ではないことが多いので、表記に注意してください)。

お子様の人数(0~3名)、お子様の年齢(14歳以下、15歳以上)によって表が異なるので、

ご自身と一致する表を選んで、義務者(配偶者)の縦軸、権利者(ご自身)の横軸のそれぞれの収入から引いた線が交わったところが、2万円の幅はありますが、おおよその婚姻費用相当額となります。

相手と話したくない場合でも、この表に線を引いたものをメール添付して、支払を依頼する簡単な文章を送ればいい、ということになります。


請求の意思を示す手続きをとること


相手がすぐに応じればいいのですが、自分から別居したのだから払わない、と言われることもあります。

その場合は、婚姻費用分担調停を家庭裁判所に申し立てますがいいですか、と伝え、応じなければ速やかに申立をして下さい。

分担額が定まれば、過去の未払分も精算することになりますが、

ご別居時からではなく、請求の意思を「明確に」示した時からの未払分となり、調停では、申立の時点から、とされてしまうことが多いです。

裁判所のHPで書式をダウンロード、記入して、記載された必要書類や郵券、印紙と一緒に郵送すれば申立ができます。


離婚に応じるように促す効果があること


婚姻費用を支払う側は、同居していない配偶者の生活費を分担することに疑問を感じ、それより低い額の養育費で済ませたい、と思う可能性が高く、離婚の成立を促す効果があります。

そのためにも、婚姻費用分担の請求は、しっかり行ってください。

次回は、離婚成立後の養育費についても、お話をさせていただきます。


このコラムを書いたのは・・・弁護士法人ForPEACE渡邊未来子

1974年茨城県生まれ。東京大学教育学部付属高等学校卒業、早稲田大学法学部卒業。最高裁判所司法修習(第53期)。都内企業法務事務所、一般民事事務所勤務のほか東京法務局、東京国税不服審判所での任期付公務員を経て2019年1月、わたしのみらい法律事務所を開設。2022年12月、弁護士法人ForPEACEに参加。弁護士資格のほか、保育士、チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーの資格を持つ。

公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

今回は、令和6年5月24日に公布された「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)について、その概要をご説明したいと思います。

今回、ニュース等で注目された民法の改正は、現在放送されている朝ドラ「虎に翼」に出てくる1947年の民法の改正から77年ぶりになる離婚後の父母の子の養育に関する見直しです。

その中で、共同親権と法定養育費について説明したいと思います。


「共同親権」原則論?


改正された民法では、離婚の際に共同親権か単独親権か選択できることになりました(民法819条)。

この規定は、共同親権を原則とするものではなく、共同親権は、父母が子の重要な問題に関して双方で関与しながら慎重な意思決定を行い、父母共同で責任を負うことが望ましい場合に選択されるものです。

逆に、父母の一方が子の問題について迅速かつ適切な意思決定を行い、他方の関与や同意なく円滑に親権行使をすることが適切な場合は単独親権が想定されています。

父母の協議が調わない場合は、家庭裁判所が、共同親権か単独親権か判断することになりますが、その際、「父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。」

「父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無」等の場合は単独親権と定めることになります。

この規定は、令和6年4月から改正法が施行された「配偶者暴力防止法(いわゆるDV防止法)」が精神的なDVに対しても対応することになったこととも通じる規定となっています。


法定養育費?


現状で、養育費の取決め率も受領率も低調です(2021年の厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」における母子世帯の調査結果では、養育費の取決め率が57.7%で受領率が28.1%)。

そこで、父母の協議等による取り決めがない場合にも養育費請求を可能にするため、改正された民法766条の3によって、「法定養育費」という制度が導入されました。

今後、法務省令で、「子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額」等が勘案された法定養育費の算定方法が定められることになっています。

その他、今回の法改正の概要については、この下のURLをクリックしてください。↓


https://www.moj.go.jp/content/001419099.pdf


この法律は、公布から2年以内に施行され、法律として実際に運用されることなり、その間に制度の運用ルールなどが整備される予定になっています。



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公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

今回は、協議離婚と公正証書について話をさせていただきます。


離婚の手続きには3つの種類があります!


離婚の手続きには、大きく分けて3つあります。

①協議離婚②調停離婚等(審判離婚を含む)③裁判離婚等(和解離婚、認諾離婚を含む)です。

そして、離婚する夫婦の9割弱は協議離婚によって離婚しています。

協議離婚する場合、前回のコラムで説明しましたとおり、後日、どのようなことを取り決めたかで紛糾しないように夫婦間で念書(協議書)取り交わしておくことが重要です。

しかしながら、念書(協議書)の場合、それ自体では、相手が取決めを守らない場合に、相手の意思に反して履行させることはできません。

相手の意思に反して履行させるためには取り決めた内容を「公正証書」にしておくことが必要です(正確には、「強制執行認諾条項(文言)」がある公正証書にしておくことです。)。

「公正証書」にしておくと、例えば、取り決めた養育費を相手が支払わなくなったときに、相手の給料や預貯金等を差し押さえる強制執行の手続を取ることができます。


離婚給付等契約公正証書とは?


公正証書は、「公証役場」で「公証人」が作成してくれます。

公証役場は、全国主要都市約300か所にあり、千葉市には、千葉公証役場があります(なお、公証人に出張してもらう場合以外は、どの公証役場に依頼しても構いません。)。

通常は、最寄りの公証役場に電話をして、夫婦で取決めた内容を公正証書にしてもらいたいと依頼することになります。


公正証書は、養育費だけを取り決めることも可能ですが、

通常は、離婚する前に、離婚と親権者と養育費と離婚給付等(財産分与・慰謝料・年金分割)をまとめて取り決める「離婚給付等契約公正証書」(または、単に「離婚公正証書」)を作成することが多いといわれています。

公正証書作成の手数料は、法律行為の目的価額によって定められています。

例えば、3歳の子が20歳まで受け取る養育費月3万円と財産分与200万円を受け取るという内容の公正証書を作成する場合、手数料は1万8000円となり、その他、公正証書原本・正本・謄本代が3000円程度かかるといわれています。

千葉市では、養育費に関する公正証書等の作成に係る費用について4万3000円を限度に費用の助成を行っています。


詳しくは、この下のURLをクリックしてください↓

yoikuhijigyo.pdf (city.chiba.jp) 


「養育費に関する支援のご案内」の中の「養育費に関する公正証書作成費補助」の項目をご覧ください。

細かな条件がありますので、事前に各区保健福祉センターこども家庭課に問い合わせを行うことが望ましいと思います。


また、千葉公証役場のホームページは、この下のURLをクリックしてください。↓

千葉公証役場 (chiba-ko-office.com)



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公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

今回は、離婚する際にどのようなことを取り決めておいた方が良いかという話をさせていただきます。


離婚する際に取り決めておくべき事柄は?


あなたが配偶者と離婚して新しい生活を始めるためには、夫婦間の財産上の清算等とともに、

まだ自立していないお子さんがいる場合、その子の将来のために離婚後の子育てについて取り決めておく必要があります。

具体的な取決め事項としては、「親権者」、「養育費」、「親子交流(面会交流)」、「財産分与」、「年金分割」等があります。

それを考える際に、法務省の「離婚を考えている方へ~離婚するときに考えておくべきこと~」というウェブサイトが参考になります。


法務省のウェブサイトをご覧になる場合はこの下のURLをクリックしてください。↓

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00011.html


子育ての計画?


法務省のウェブサイトの中でも、特に、「お子さんに関する事項(「子育ての計画」)」の中の「こどもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」が参考になります。

お子さんが両親の離婚という大きなできごとを乗り越えて健やかに成長していけるよう、

離婚するときに両親が取り決めておくべき「養育費」と「親子交流(面会交流)」について、分かりやすく説明してあります。

特に、「こどもの養育に関する合意書(記入例を含む)」が「子育ての計画」を立てる上で参考になります。

なお、「問い合わせ先」の中にある「養育費等相談支援センター」は、公益社団法人家庭問題情報センターが「こども家庭庁」から業務委託を受けて運営しています。


取り決めた内容を書面に残しておく!


「こどもの養育に関する合意書」は、後日、紛争が生じないよう、2通作成して、両親で1通ずつ保管しておきます。

ところで、養育費の支払いは、今後、お子さんが自分で経済的にも社会的にも親から自立するまでの長期間、かつ毎月継続させるものですから、

その間、万一、養育費が中断してしまった場合に備えて、取り決めた内容を公正証書や調停調書にしておく方法があります。


詳しくは次回お話をさせていただきます。



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公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

今回は、どのようにして婚姻費用を決めるのかという話をさせていただきます。


生活保持義務とは?


夫婦は、法律上、自分が生活をするのと同程度の生活を配偶者(経済的・社会的に親から自立していないお子さんがいる場合は、そのお子さんにも)にさせなくてはならない義務があります。

これを生活保持義務と呼んでいます。

具体的には、収入の多い夫又は妻が、収入の低い妻又は夫に対して、

同程度の生活をするために、不足する生活費を支払うことになります。

収入の低い妻又は夫と同居している先ほどの様なお子さんがいる場合は、

そのお子さんの分の生活費も含まれます。

そのため、婚姻費用を決めるために、収入の低い妻又は夫の方からその配偶者と話し合って、

収入の低い妻又は夫が受け取る生活費の金額をいくらにするか話し合うことになります。


「算定表」の使用方法!


しかし、お二人での話し合いが平行線で、生活費の金額が決まらない場合は、前回説明しました「算定表(標準算定方式・算定表)」を使って算定された金額を参考にして生活費の金額を決めることになります。

この「算定表」は、通常の場合、専門家でなくても誰でも簡単に使用できます。


以下に算定表の使用方法を説明します。


1 夫及び妻のお二人の年間の税込み年収を調べます。

  夫及び妻が会社員の場合は、「源泉徴収票」の中の「支払金額」が税込み年収になります。


2 インターネット等で算定表を検索します(前回のコラムをお読みください。)。

  →前回のコラム「別居中の生活費をどうしますか?


3 生活費を受け取る側(権利者)にお子さんがいる場合、そのお子さんの人数と年齢によって、表を選びます。

  そして、義務者(生活費を支払う側)の年収を縦の「給与」の金額に、

  権利者の年収を横の「給与」の金額に、それぞれ当てはめて、

  その2つの金額が交差するところに記載された金額が義務者が支払う毎月の生活費の金額になります。


4 夫又は妻が自営業者の場合は、「所得税の確定申告書」の中の「所得金額(「所得金額等合計」)」を使用しますが、少し細かな操作が必要です。

  その「所得金額」から「社会保険料控除」の金額を引いて、「青色申告特別控除額」を加えて、

  現実に支払われていない場合は「専従者給与(控除)額の合計額」も加えて、年間の税込み年収を算出します。

  そして、算定表の「自営」の金額に当てはめて使用します。


「算定表」は、現在、家庭裁判所の離婚調停、婚姻費用分担調停・審判や離婚訴訟でも使用されています。


婚姻費用は、ご自分やお子さんの毎日の生活に関わるものですから、

以上の様な方法で、速やかに婚姻費用を受け取ることができるようになることが期待されます。



このコラムを書いたのは・・・

公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

弁護士の渡邊未来子と申します。

今回は、別居前のご準備や段取りで、よくお問い合わせのある内容についてお話を致します。


相手も使う物は置いていく


結婚前から持っている物、ご自身しか使わない物は、共有資産とならないことが多く、

相手の生活にも支障がないので、持ち出しても構いません。

相手も使う物、家電や収納以外の家具については、ある日突然なくなったら相手も困ります。

別居だけで感情的になっている相手が、不便を強いられることでさらに反発すれば、

その後の話し合いは難航します。

新たに購入することは負担となりますが、シェアハウスを転居先にして、

共用の家具家電を活用する等の方法もあります。


鍵はいったんかけて出て、連絡を取ってから返す


もう家の中には勝手には入れない、と考えた方がいいのですが、

外から鍵をかけずに出ることは防犯上できません。

家の外に置いたまま、外から無理にポストや新聞受けに放り込む、という方法も、

確実な受け渡しとは言えません。

話がつき始めて、双方家を引き払う、話し合った上で追加で持ち出せるものが生じた、という場合に、その鍵を使う可能性もあります。

相手と連絡を取り合い、段取りを決めてから返す方が安心です。


お子様には直前に別居のことを話しておく


相手に分かってしまうかも、と思うと慎重にならざるを得ませんが、

いきなり別居当日に話されても、お子様は動揺のあまり、一緒に出られないかもしれません。

また、話してもらえなかったということは、お子様の心に引っかかり続けるかもしれません。

落ち着いて話し合うために家を出ること、お子様のことを大事に思っていること、

今置いていくのは心配なのでついてきてほしいことを説明して、

了解を得るという機会を作ってあげてください。

話し合ったという事実は、お子様だけでなく、ご自身の自信にもつながります。


次回は、別居後の話合いを弁護士に依頼するメリットやデメリット、判断のポイントを整理してお話しいたします。



このコラムを書いたのは・・・弁護士法人ForPEACE渡邊未来子

1974年茨城県生まれ。東京大学教育学部付属高等学校卒業、早稲田大学法学部卒業。最高裁判所司法修習(第53期)。都内企業法務事務所、一般民事事務所勤務のほか東京法務局、東京国税不服審判所での任期付公務員を経て2019年1月、わたしのみらい法律事務所を開設。2022年11月、弁護士法人ForPEACEに参加。弁護士資格のほか、保育士、チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーの資格を持つ。

行政書士の佐々木あづさです。


前回(3回目)のコラム

「申請をするとき、申請をした後に気をつけること」では、

大切なのは申請をする制度の決まり(ルール)を守ることとお伝えしました。

続いて今回のコラムでは、「相談するときのポイント」をご説明します。


相談は早めがおすすめ


「まだ大丈夫」となだめるように自分に言い聞かせているときは、

すでに心のどこかに不安が生まれています。

「もうそろそろ限界」のサインととらえて、相談先を探し始めましょう。


早めに相談するとよい理由は、いろいろとあります。


まず、体力と気力に余裕があるうちに相談したほうが、

落ち着いて話しができます。


また、手続きなどに時間のかかる解決策も選ぶことができます。

反対に、切羽詰まった状況では、選択肢が減ってしまうことがあります。


さらに、ひとつ目の解決策がうまくいかなかった場合に、

ほかの方法を試したり、違うところに相談したりすることもできます。


相談をするときに気をつけたいこと


相談したいことを簡単なメモにまとめていくと、相談時間を短縮できます。


「いつから・何が・どうなって」困っているのか、

事実(現実におきたできごと)を中心に伝えると、

相談相手が理解しやすいです。


相談ごとを話すときは、感情的にならないように気をつけましょう。


辛さをわかってほしいという気持ちが強くなると、

興奮して、言葉がうまくまとまらなくなります。

感情がたかぶってしまったら、深呼吸をして息を整えます。


相談した先でうまく解決策が見つからなかったときは、

「ほかに相談できるところを教えてください」と聞きます。


「どこに相談できるか」を案内することも、相談業務のひとつです。

「せっかく話を聞いてくれたのに、別の相談先を聞くのは申し訳ない」といった

気遣いはしなくて大丈夫です。


しっかり情報を集め、上手に情報を伝えて、

賢く福祉制度を活用していきたいですね。


皆さんが、日々、「ふだんの くらしの しあわせ」を感じられますように。


(文責・佐々木あづさ)



このコラムを書いたのは・・・

あづさ行政書士事務所 佐々木あづさ

行政書士。障がいを持つ2人の子どものシングルマザー(寡婦)。自身も社会福祉制度を申請する際、苦労した経験を持つ。もともと得意な情報整理能力と書類作成能力を生かし、平成26年に行政書士として開業。現在はセミナー、講演なども積極的に行っている。特技は柔道(参段)と手相占い。

弁護士の渡邊未来子と申します。

今回は、離婚の方向で別居を計画し、別居先も決めた後、どう進めるかをお話ししたいと思います。


相手には家を出た後に気持ちを伝える


相手に別居する、と伝えた後、今のお住まいで一緒に過ごす緊張感、逆上される危険を避けるため、

家を出る前には伝えず、相手が家にいないことが分かる日時に、

確実に来てくれる業者を頼んで、先に家を出てください。

その後に帰宅した相手は驚いて、親族や友人に、そして警察に、次々連絡を取るかもしれません。

すぐに伝わるよう、置き手紙やメールで、一緒に生活することが限界なので家を出た、

落ち着いたら話し合いの連絡をする、とだけ伝えてください。

お子様等と一緒なら、置いていけず連れて出たことも伝えた方がいいと思います。


一番大変なところを弁護士にお願いする


それでも、どういうことだ、と相手の気持ちがおさまらないのでは、とご心配だと思います。

事前に弁護士にご依頼をされて、別居時に弁護士に連絡してもらう

弁護士から連絡があると伝える形にすれば、ご自身で対応する必要はありません。

ご自身の真剣さを相手に伝える効果もあります。

弁護士を通じた話し合いが始まれば、それを続けていく、拒否されれば、調停や訴訟の手続を取ることになり、どちらにしても、話は進んでいきます。


別居前に、もしできれば、財産の証拠を


以上が別居の流れですが、その前にもし、金融機関や保険会社から届いた相手宛の郵便を見かけたら、封筒の表裏を撮っておいてください。

離婚の話が進めば、お互い資産を開示して財産分与の話をすることになりますが、

資産を隠されても、その写真があれば、裁判所や弁護士を通じて調査できるかもしれません。

ただ、勝手に郵便を開封したりセキュリティ解除したりすることは違法となり、

手に入れた証拠も結局表に出せませんので、やめて下さい。


次回は、その他の別居前のご準備や段取りで、よくお問い合わせのある内容についてお話を致します。



このコラムを書いたのは・・・弁護士法人ForPEACE渡邊未来子

1974年茨城県生まれ。東京大学教育学部付属高等学校卒業、早稲田大学法学部卒業。最高裁判所司法修習(第53期)。都内企業法務事務所、一般民事事務所勤務のほか東京法務局、東京国税不服審判所での任期付公務員を経て2019年1月、わたしのみらい法律事務所を開設。2022年11月、弁護士法人ForPEACEに参加。弁護士資格のほか、保育士、チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーの資格を持つ。

行政書士の佐々木あづさです。


前回(2回目)のコラム「社会福祉制度の情報の集め方」では、

公的な社会福祉制度の情報は

自分から動いて探す必要があることをお伝えしました。

続いて今回のコラムでは、

「申請をするとき、申請をした後に気をつけること」をご説明します。


申請をするときに気をつけること


まず大切なのは、申請をする制度の決まり(ルール)を守ることです。

決まりは、申請をする人だけでなく、

「すべての人に公正に対応するため」に行政をしばるものでもあります。

自分だけ「特別扱い」を期待しないようにしましょう。


 申請をするときは、下記の点に注意します。


・利用対象者かどうか

・申請書の記入する箇所をすべて記入しているか

・あわせて提出する証明書(添付書類)はそろっているか

・申請期間中かどうか


わからないところは、申請をする窓口に問い合わせて確認します。


とくに申請期限や添付書類は、

確かめないうちにあきらめるのはもったいないです。


さらにひと工夫。

申請書と添付書類はコピーをとり、

窓口に提出した日(申請日)を書き込んでおくとよいです。

申請後の問い合わせがしやすくなり、次回の申請時にも役立ちます。


そして(めったにないことですけれども)、

申請書類がきちんと整っているのに

窓口で申請を断られるようなことがあれば、

書類は郵送で提出します。

行政は受け取りを拒否できない決まりがあります。

できればレターパックなど、配達記録の残るものがおすすめです。


申請をした後に気をつけたいこと


結果がでるまでに時間がかかっているときは、

「いつごろ結果がでるか」問い合わせます。

手続きの進み具合を教えてもらえるほか、

足りない書類があって保留扱いになっていることがわかる場合もあります。


もし申請が許可されなかったら、理由を質問して

どの条件がどのように変わったら許可されるのか」を聞いておきます。


また、申請が許可されなかった理由に納得がいかないときは、

3か月以内なら、ほかの審査機関に

審査をしてもらうことができます(「行政不服審査制度」といいます)。


次回のコラムは、「相談するときのポイント」をお伝えします。

(文責・佐々木あづさ)



このコラムを書いたのは・・・

あづさ行政書士事務所 佐々木あづさ

行政書士。障がいを持つ2人の子どものシングルマザー(寡婦)。自身も社会福祉制度を申請する際、苦労した経験を持つ。もともと得意な情報整理能力と書類作成能力を生かし、平成26年に行政書士として開業。現在はセミナー、講演なども積極的に行っている。特技は柔道(参段)と手相占い。

千葉ファミリー相談室に相談に来られる方の中に、

離婚はしたものの、離婚後、予想以上に経済的に困窮してしまった、

持っていた預金がすぐに底をついてしまった、なかなか就職先が見つからなかった、

ひとり親にどのような支援があるのか知らなかった等の話を聞くことがあります。


そこで、

離婚するかどうか考える際、離婚になった場合、どのような生活を送ることになるか、

離婚する前に、離婚後の「生活設計」を考えておくことが重要です。


離婚前は、家庭内が混乱し、大きなストレスを抱え、精神的にも辛い時期ですが、

離婚すると、経済的にも生活面でもこれまでとは大きく違う生活を送ることになるので、

離婚する前に離婚後の「生活設計」を考えておくことが重要です。


離婚後の「生活設計」をする上で、必要な情報を提供しているのが、

千葉市の場合、各区にある「保健福祉センター」の中の「こども家庭課」等です。

その業務の詳細は、千葉市役所のホームページの中にある「ひとり親家庭の方などのために」に紹介されています。


千葉市のHP:ひとり親家庭の方などのために


このサイトには、

①ひとり親家庭の方などへの手当(児童扶養手当等

②ひとり親家庭の方などへの医療費助成

③ひとり親家庭の方などへの就労支援(「母子家庭等就業・自立支援センター」)

④ひとり親家庭の方などへの資金の貸付(母子及び父子並びに寡婦福祉資金等

⑤ひとり親家庭の方などへのその他の支援等が説明されています。

「千葉市ひとり親家庭福祉会」のことも紹介されています。


また、こども家庭課」には、「母子・父子自立支援員」というひとり親の方の支援に関する専門の職員がいて、

お子さんや家庭や福祉資金の貸付等について電話相談や来所相談に応じています。

千葉ファミリー相談室は、県内市区町村の母子・父子自立支援員の方に対し、

養育費や面会交流等について講演をしたり、具体的な相談事例の対応等について助言を行っています。


千葉市役所のホームページの中にある「ひとり親家庭の方などのために」を確認した上で、
「こども家庭課」の職員や「母子・父子自立支援員」に、離婚後の種々の支援の説明を受けて、

こんなはずではなかったということにならないよう、離婚する前に、離婚後の「生活設計」を考えてみてください。



このコラムを書いたのは・・・

公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

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