子の養育に関する民法等の改正について(その2)

公益社団法人家庭問題情報センター千葉ファミリー相談室です。

今回は、前回紹介しました令和6年5月24日に公布された「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)について、Q&A形式で説明をさせていただきます。


単独親権で離婚後、民法の改正で共同親権になる?


Q:単独親権で離婚したのですが、民法が施行されると、単独親権が共同親権に変更になることがあるのでしょうか?


A:単独親権を共同親権に変更する手続は、家庭裁判所に親権者変更の申立てを行うことが必要です(改正民法819条6項)。

そして、従来、親権者が変更になる要件は、親権者を指定した後、事情の変更があり、親権者を変更することが子の利益のために必要があると認めるときでした(なお、親権者を変更することに父母間の協議が調っている場合もあります。)。

そこで、単独親権から共同親権に変更になる場合も、従来同様の要件が必要になります。

加えて、今回の改正で、父母と子との関係及び父と母との関係が改善したことから共同親権に変更することが子の利益になること、かつ、子への虐待、DVのおそれなどの子の利益を害することが認められないという要件が明記されました(改正民法819条7項)。

ですから、父母間の協議が調っている場合を除き、単独親権から共同親権に変更になる場合は非常に稀ではないかと考えられています。

なお、今回の改正で、離婚時等、真摯な合意なく共同親権を強制された場合などに共同親権の修正(共同親権から単独親権に変更すること)を図ることができるような規定が追加されました(改正民法819条8項)。


養育費について「法定養育費」以外の変更は?


Q:養育費について、離婚時、養育費を取り決めなかった場合、法定養育費制度が新設されましたが、それ以外に変更されたことがありますか?


A:従来、公証役場で取決めた公正証書や家庭裁判所で取決めた調停調書等がないと、養育費が不払いになった場合、強制執行ができませんでしたが、

今回の改正で、父母間の合意文書があると、強制執行の申立てができることになりました(改正民法306条3号、308条の2)。

ただし、合意文書には、父母の署名、作成日、養育費の金額及び期間(養育費支払いの初めと終わりの日付)が明記される必要があると考えられています。



このコラムを書いたのは・・・

公益社団法人家庭問題情報センター 千葉ファミリー相談室

内閣府認可の「公益社団法人 家庭問題情報センター」の傘下にある全国組織の団体。平成6年に、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的として開設され、元家庭裁判所調査官、元法務技官、臨床心理士、スクールカウンセラー、調停委員経験者などで構成される。家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進に資するため、後見活動、面会交流支援、相談・カウンセリング、講師派遣活動、証人活動などを行っている。

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